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水 沢 有 美

水 沢 有 美

水沢有美さんと<青春学園シリーズ>第6回

水沢有美さんと<青春学園シリーズ>第6回
第一部:夏木陽介主演『青春とはなんだ』(5)
三人娘として定着~『青春とはなんだ』第30話「花咲く丘」篇~


 さあ、水沢有美さんが完全レギュラーとなったのが、この第30話「花咲く丘」からということになります。放映日は、1966(昭和41)年5月22日。監督はもちろん高瀬昌弘さん。脚本は田中美樹さんという方、『青春とはなんだ』では、この後にこれをあわせて3本ほどの脚本を手がけていますが、今ひとつメリハリがなく、ストーリー展開に無理がある感じがしてしまいます。女性の新人ライターだったのでしょうか。データーベースなどで調べてみてもこの1966年から1967年にかけてしか活躍していないような感じです。ただ、女性とは言い切れないのは、あの『銀河英雄伝説』の作家・田中芳樹の本名が田中美樹(たなかよしき)なんですよね。こちらの田中美樹さんは、本名でも作品を出していたようですが、1952年生まれなので、同姓同名の別人ということになります。いくらなんでも14歳でテレビドラマの脚本に手を染めていたというわけはないですからね。

 話を水沢有美さんに戻しましょう。この第30話でも佑子はオープニング・シーンからどんどんでてきますよ。メインの女生徒である豊浦美子さん、岡田可愛さんとの三人娘としての登場シーンと他のレギュラー女生徒である松田八十栄、遠山智栄子、有田めぐみの人たちとも組み合わせもありますが、水沢さんはナンバー3の位置にいることは間違いありません。さっそくサブタイトルでのキャスティング・ボードを眺めてみましょう。

1枚目 夏木陽介
2枚目 藤山陽子
3枚目 豊浦美子、岡田可愛、寺田農
4枚目 木村豊幸、矢野間啓治、関戸純方、大沢健三郎
5枚目 杉本哲章、木下陽夫、松浦忠、石黒高志、江上二三夫
6枚目 樋浦勉、地井武男、伊村道明、根岸一正、大西郷夫
7枚目 松田八十栄、水沢有美、遠山智栄子、有田めぐみ、佐々木賢
8枚目 二瓶正也、稲吉靖、土屋靖雄、大前亘
9枚目 松上冬樹、野口元夫、坂本武
10枚目 藤木悠、十朱久雄
11枚目 市川中車

 私が一緒に出られると松田八十栄さんと区別がつきにくい北島マヤさんが出ていないので助かります(何のこっちゃ)。松田八十栄さんはレギュラー女生徒中でも登場回数が多い方だと思いますが、その松田さんを押しのけて水沢有美さんは豊浦美子、岡田可愛のお二人と三人娘として登場するケースが多くなっています。当初は、前にも書いたと思いますが、水沢さんがいた位置に土田早苗さんがいたのですが、関西から通われていたという時間的制約もあり、水沢有美さんが埋める形になったようです。土田早苗さんもまったく出なくなった訳ではなくこの後にも三人娘の一人として登場する回はあります。

 この第30話「花咲く丘」は、ややタイトルからくるイメージからはかけ離れた内容です。宇留野仁一著『「青春とはなんだ」大全』(2003.4)では、<設定が「でっかい青春」に引き継がれた>と紹介しています。竜雷太さん主演の<青春学園シリーズ>3作目の『でっかい青春』では、不良たちを更正させるための農場を運営している篠原(宮口精二)や「野良犬チーム」という町の若者たちによるラグビーチームが出てきます。この第30話でも他所から来た流れ者の若者たちが北原大造(市川中車)の運営する共愛農園に預けられチンピラチームを作り、森山高校ラグビー部と戦うことになるといった、似たような展開になります。
 このようにこの『青春とはなんだ』という作品は、のちの<青春学園シリーズ>に陰に陽に影響を及ぼしていくことになるのです。
 
 では、水沢有美さんの登場シーンを見ていくことにします。今回は全体を38場面と見なしています。期待のおなじみのしぐさも見ることが出来、私はホッ胸をなで下ろしています。それも初っ端からですよ。

第1場面(#1) 裏山。
野々村先生(夏木陽介)さんの青空教室が行なわれている。座っている生徒たちの中に佑子(水沢有美)もいます。カメラは座っている生徒たちを移動しながら舐めていくのですが、順子(豊浦美子)、勝子(岡田可愛)の次に佑子は座っています。はい、最初の三人娘としての登場です。で、最初の全体を映し出したシーンを巻戻して見てみると。あれれ、水沢有美さんが鼻を一瞬触っているようです。まあ、確実に確認できたわけではありませんが、私はこれで安心しました(笑)。

第2場面(#11~#12)校庭から校長室前へ。
流れ者のチンピラグループとラグビー部との決闘騒ぎがあり、校長(十朱久雄)・中川先生(藤木悠)らから処分を受けそうになる。生徒たちは大騒ぎとなり、校長室に掛け合いにいこうということになる。この場面に水沢有美さんの佑子も当然います。

第3場面(#21)校庭の原っぱ(A)。
永井先生(藤山陽子)を囲んで座っているレギュラーの五人の女生徒たち。チンピラチームと森山高校ラグビー部が試合をすることになり、応援のことで相談している。なお、今回出演のレギュラー女生徒たちは、三人娘を含めて六人ですが、有田めぐみさんだけはこの場所にはいません。今回、有田めぐみさんは、最後の試合当日のシーンのみの出演でした。

第4場面(#22)校庭の原っぱ(B)。
久保(木村豊幸)、寺田(矢野間啓治)、キャプテン林(関戸純方)のところへ水沢有美さんをはじめとするさきほどの五人娘がやってくる。チンピラチームにユニフォームを提供しようと提案する。

第5場面(#24)北愛農園の前から農園内の土山。
野々村先生(夏木陽介)が北原(市川中車)と二人でチンピラチームの面々を見ているところへ五人娘たちがラグビー部の新しいユニフォームを抱えてくる。五人の並びは岡田可愛、豊浦美子、水沢有美、遠山智栄子、松田八十栄という感じでした。このシーンのセリフ回しを見てみましょう。

北原と野々村先生が話している。
勝子(岡田可愛)の声 「先生!」
野々村先生 「よう!」
 五人娘が大きな袋包みを抱えてくる。
野々村先生 「どうしたんだ」
順子(豊浦美子) 「今日からロードワークでしょ」
野々村先生 「うん」
 袋からユニフォームが出てくる。
順子 「あの人たちにジャージを持ってきました」
勝子 「(ユニフォームを差出し)ラグビー部と私たちの気持ちです」
野々村先生 「それでみんなは?」
佑子(水沢有美) 「ボロのジャージで我慢しています。(隣の遠山、松田の二人に)ねえ」
野々村先生 「そうか。それはありがとう」
北原 「いい話じゃないですか」

 という感じで、水沢有美さんも加えた三人娘がセリフを言うのみでした。

第6場面(#27)校長室の外。勝子、順子、佑子の三人娘が中の話を聞いている。野々村先生がチンピラたちと関わっていることが問題となり謹慎処分にすることになる。あわてて駆け出す三人娘。

第7場面(#28)校庭。ラグビー部員のところへ三人娘が野々村先生の処分のことを知らせに来る。

第8場面(#29)校長室。ラグビー部の連中と一緒に三人娘も抗議にやってくる。

第9場面(#30)野々村先生下宿の部屋。集まっている五人娘とラグビー部の面々。

第10場面(#36)グランド。
チンピラチームとラグビー部との試合場。チンピラチームたちが溺れていた子どもを助けたことで警察の勧めもあり、野々村先生の謹慎もとけ、試合のできることになる。レギュラーの女生徒たち六人(有田めぐみさんが突如加わっている)が第25話「どろんこ作戦」で着ていた右腕に白いストライプが二本ある黒い服を着ている。今回の水沢有美さんは最後まで存在していました(笑)。

第11場面(#37)校庭。
野々村先生と永井先生が二人で話しているところに勝子、順子、佑子の三人娘がやってくる。チンピラチームとラグビー部が揉めているというのだ。

第12場面(#38)校庭の原っぱ。
チンピラチームとラグビー部の連中がいるところに野々村先生、永井先生および三人娘がやってくる。チンピラチームが負けたので頭を坊主にすると言っているところ。結局、野々村先生の一喝で取りやめになり、一緒にロードワークに出て行くことになる。見送る永井先生と三人娘たちの笑顔のアップ画面でこのシーンは終わり。

 ふー。なんだか多かったですね。三人娘として登場した場面はどのくらいだったでしょうか。皆さんで数えてみてください。今後もこんな感じで出番は多そうですよ。次回も最初のオープニング・シーンから登場しているみたいですよ。では、また次回。




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